濃い人が逃げ出した方向を見つめて、前歯をむき出すワカバ。
「チッ…」
って今、舌打ち聞こえなかった?
それも合いの手みたいな良いタイミングで。
でも恨めしそうな表情を見せたのはほんの一瞬で。
くるりと前に向き直ると、次の標的に狙いを定めてキラリと目を光らせた。
そうだ!
いけ!
ヤッチマイナ!
想像もつかないくらいの大口を開けたワカバに、不思議なヒゲ面のおっさんは気づきもしない。
もしかして、たった今も、ヤクが効いてるのですか?
そんな問いかけも虚しく、ヤク中のおっさんは姿を消し、とうとう若葉がステージの最前に登場した。
そのわりには客の反応があまりないんだけどなんでかしら?
でもさすがに、間近で見てしまったカッパ坊やは青ざめている。
彼は弟の名前を叫びながら、ステージの袖に向かって走りだした。
しかしワカバ、一度ならず二度までも獲物を逃がすなんてヘマはしない。
ものすごい勢いで追いかけてく。
そこに、名前を呼ばれたキャンディ大好きっ子は、何事かとノコノコ出てきたのだ。
ボクちゃん…。
君を待ち受けているのはキャンディではなくカイジュウ…。
ボクちゃんは、「キャンディ!」と奇声をあげながら、自らワカバの口の中に飛び込んでいった。
うん。
見つかるといいね。
キャンディ。
合掌。