にっこり微笑んでワカバを見るヒヨコ。
ワカバは一歩一歩ヒヨコににじり寄って行った。
そしてヒヨコの足元に来た時。
「ク〜ン、ク〜ン」
ええ?!!
ワ、ワカバ?!
これって、甘え鳴き?!
あたしにさえした事のない服従のポーズでヒヨコに「お腹撫でて」と催促する。
こ、このクソ犬!!
ヒヨコは「ん〜。かわいいですね〜」とか呑気な事を言いながらワカバをなでなでしてあげた。
ねえ、濃い人以外の皆が喰われたの、気付いてないの?!
「獰猛ないきものでもね〜、こうやってね〜、撫でてあげたらいいんですよ〜」
え?!
ちょっと待ってよ、ム○ゴロウ・・・じゃなかった、ヒヨコ!!
今の、日本語?!
ってか、あんた実はムツ○ロウが化けてる?!
大人しく撫でられてたワカバは、突然立ち上がって、なにやら「クッ、クッ」と喉を鳴らし出した。
これって、毛玉吐き出す時によくやる仕草。
ペッ!!!
ああ!!こ、これは!!!
キリンのサングラスと・・・え?金髪のカツラ?!
カッパ!!!!!!!!!!
怪しい怪しいと思ってたけど、やっぱり・・・。
「ああ。変な物も一緒に食べちゃったんですね〜」
ヒヨコ・・・呑気な事言ってる場合じゃないだろう。
その『変なもの』はあなたのグループのメンバーよ?
だけど、ヒヨコは一人になったのにコンサートを中止する気はないらしい。
どこからか曲が流れてきて、マイクを口に当てた。
ちょ、ちょっと待ちなよ!!!
一人じゃハモりも出来ないよ?
そう思ってたんだけど・・・。
え・・・?ちょっと!!
ワカバ??
ヒヨコの横で従順な番犬みたいに座ってるワカバが、WOWOW言いながらハモってる!!!
こ、これって一体なによ?
すげぇ、すごすぎるよ!!
たった一匹でキリンとカッパの分のコーラスをやってのけるなんて!!
うちの犬、天才!!
ワカバ、道草少年団に入りたかったんだね。
チケット送ってよこしたの、お前だったんだー。
そういや、ワカバのWだもんね。
おめでとう!お前、立派に彼らの仲間に入ってるよ!!
コンサートは無事終了。
だけど明るくなったステージの上には、血に染まったキリンのサングラス、カッパのつけてたヅラ、ボクちゃんの持ってたキャンディーが散らばっていた。
ああ、やっぱ本当に喰っちゃったんだね。
席から離れずに、彼らの名前を叫びながら涙を流している女の子達が何人もいた。
誰も薄い人の名前は口にしなかった。
-おしまい-