今日は第1回目のメンバー・ミーティング。

5名のうち3名が集まり、少し遅れるが、4人目のメンバーも今日越してくるので参加する予定のはずだった。最後の1人は、家の事情があってすぐには館に移ってこられないらしい。

実はあたしは、以前から館に潜んでいるプラント以外とは面識がなかった。スカウトしてきたワカバはもちろん、キャプは面接をしているし、アナも彼らの生活上の手配を色々やっているから多少交流があったようだ。でも、普段研究をメインにしているあたしはもともと接点が少ない上、ここしばらくは研究にかかりっきりでキャプとすら顔を合わせていなかった。早朝に魔法人の中で薬草に向かって呪文を唱えていた時ヒヨコをチラリと見かけたのだが、呪文の効果で特殊な霧を発生させていたのでよく見えなかった。もっとも、向こうも霧で光が乱反射して、魔方陣の中のあたしの姿は見えなかったはずだが。

いや。そんなことはどうでもいい。問題はたった今、この瞬間の状況である。

まだ大きな任務もなく、スムーズに始まるはずだったミーティングだったのだが、いざ会議室に集まってみると、プラントの姿が見つからなかった。かくして『午後のプラント大捜査線』が開始されたのだった。

「あいつ・・・余計なときにはいつも現れるくせに・・・!」

思いつく限りの悪態と呪いの呪文を唱えながら、あたしは地下にある妖精の泉に向かっていた。

妖精の泉は、アナの故郷の泉をあたしが再現したものだ。とはいえ、アナが連れてきた護衛妖精のおばさんたちに、満月の夜、夜通し何往復もさせて本物の泉の水を汲んでこさせたので本格的な仕上がりになっている。アナはアナでよく覗き込んで何かしているが、あたしも水鏡としてしっかり活用させてもらっている。

「ふん!プラントなんかさっさと捕まえてしばらく実験台にしてやる」

泉の前にたどり着くと、水面の見つめながら和装には似合わないヘブライ語の呪文を唱えた。

一瞬激しく波立ってから、そこの方からブクブクと泡が湧き上がってきたかと思うとやがて渦になり、水面に人影が浮かび上がった。その姿は、みるみるくっきりしてきて、あたしは口をつぐんだ。

「誰!!!!?」

そこには見覚えのない男の姿。館のホールに飾られた鎧の陰から、一心に何かを見つめている。あたしはさらに呪文を唱えて、彼の視線の先を映し出した。

いた!!!

壁にかけられた額の下から、緑の葉っぱが飛び出している。

あたしはホウキを呼び出して飛び乗ると、一気にホールまで飛ばした。

 

ホールに着くと、額の下に潜んでいた葉っぱは姿を消していた。裏返してみてもプラントの姿は見えない。振り返ると、鎧の陰にさっきの見知らぬ男がまだ潜んでいた。

「ヤツはどこに行った!?」

後ろから肩を掴んで尋ねると、一瞬ビクッとしてからわずかに微笑み、またもとのポーカーフェイスに戻る。そして彼は黙って扉の方を指差した。

「!!!!!」

プラントはしらばっくれた顔をしながらドアに張り付いていた。かくれんぼでもしているつもりなのか。ドアの模様になりきっているが、明らかに異様だ。てか気持ち悪い!

「ж%?*¥&〜♪(かくれんぼ〜♪)」

ベリッ!

これ以上奇怪な声を聞きたくなくて、ドアから平べったい体をかがすと、くしゃくしゃに丸めて握りしめた。そして、もう一度鎧の陰にいる男に向き直る。

「あなた、なかなかだね。名前は?」

「シュー・・・」

「シューね。よし!キミには一番に必殺技を作ってあげよう」

そう言うと、彼を連れて(プラントを握りしめて)、会議室に戻った。

 

もちろん、プラントは会議室でみんなからコッテリ絞られた。しかしそのほとんどは、「1人をみんなで探すのはかくれんぼのルールとしてどうなのよ!!!」という、なんとも微妙な内容だったのだが。

 

 

 

END

かくれんぼ