あたしの故郷は別の次元にある。
それを知ったのは10歳になった頃だった。あたしを育ててくれた血の繋がらない兄のサミーと、その同居人たちはそれについて何も教えてくれない。
そしてあたしの本当の親の事も、初めて聞いたのは親友の口からだった。
“帝王・ゴッドファザー”
これが父の呼び名だそうだ。この世界には5つの地区があり、それぞれセントラル、イースト、ウェスト、サウスにノースと呼ばれている。各地区は結束力が強く、血縁関係はなくても自らを“ファミリー”と称していた。簡単に言うと、ギャングの集団みたいなもんだ。そして、セントラルは政治の中隋だった。だけどウェストとノースの反乱により、今はもうないらしい。あたしが育ったのはイーストだが、5歳まではセントラルにいたという。ま、何も覚えていないんだけど。
各ファミリーには代表者・・・というかリーダー的な存在がいる。幹部という者もいるが、イーストのリーダーであるサミーはその呼び方を嫌っていた。俺たちは組織じゃなく、家族だ。だから幹部というのはおかしい。というがサミーの言い分だ。同居人たちも同感らしい。
おかしな同居人は4人いた。まずサミーの親友であり、一番年上なのに彼らの弟的存在のラスター。ちょっとおつむが弱いが、小さなあたしには格好の遊び相手だった。
次にバイク好きのブラザー、ハーレー。休みになるといつもガレージでバイクをいじっている彼の作業をじーっと眺めているのが好きだった。
そして機械おたくのリー。部屋にこもって機械ばかりいじっている彼は、アジアの血をついでいてよく中国の昔話をしてくれた。
それから忘れちゃいけない、アフロ頭の奇妙なアフロ。本名を誰も知らないので、彼のチャームポイントである髪型から、皆アフロと呼んだ。このアフロがたちが悪い。気分によって大きくなったり縮んだりするからだ。彼の髪はどういう仕組みになっているのだろう。リーとよく、その謎を解明しようと試みたが失敗に終わった。
そんな彼らがあたしの元を去ってから何年経っただろう。ハイスクールに上がる前の夏休み、我が家は火事に合いサミーたちも行方不明になった。
死んだと言われているが、あたしは信じない。ヤツらがそんな簡単にくたばるハズがない。今頃きっとどこかで面白おかしく暮らしているだろう。
まあ、いつかまた会えるだろうから今は探していない。時がくれば彼らのほうから姿を現すだろう。その時にはとりあえず、一発ぶん殴ってやるけどな。
覚悟しとけよ、サミー。