妖精の国のガラム・マサラ王の娘、プリンセス・アナベルがプリンス・チャーミングを探しに旅に出ると決心したとき、唯一彼女が持ち出した(連れ出した)ものがあった。

これは、そのアナベルが連れ出したものが繰り広げる、主婦の知恵とパワーと、ほんのちょっとの悲哀が混じった、心温まるお話である。(信じられん・・・)

 

プリンセス・アナベルがお城を出て3日目。

バニラ 「ふんふふん♪」

クローブ「なあにバニラ。ご機嫌ね」

ペッパー「新番組のソープドラマが初っ端からかなりおもしろいらしいよ」

ホロキア「どうせ相手役がバニラのダンナと似てるんでしょ」

ローリエ「アホな話してないで!アナベル様に置いていかれちゃうわよ」

説明しよう!5人集まっているが趣味については統一性ゼロな彼女たちはキッチンおばさんず。プリンセス・アナベルが生まれたときから護衛や身の回りの世話をしてきた、超ベテラン主婦たちなのだ。フワフワと浮かぶ大きなハートのシャボン玉から遅れること30メートル。もはや飛んでるのか浮いてるだけなのかわからない速度でアナベルの後続についている。

2日目の夜、それぞれの個人的な事情でまたしても仕事を放棄しそうになったが、すぐに戻ってきてたちどころにプリンセス・アナベルの世話に専念した。

ホロキア「アナベル様のプリンスチャーミングはどんな髪色なのかしら?」

ローリエ「あなたみたいなチリチリの赤毛じゃないことは間違いないわね」

クローブ「きっとダーリンみたいなプラチナブロンドよ!」

バニラ 「絶対ダークブラウン!落ち着きのある大人の男性よ!!!」

ペッパー「プリンセスにはもっと華やかなひとの方がいいよ」

アナベルにプリンスチャーミングの顔を見せてもらってないらしい。

その時、前を飛んでいたシャボンの中からうめくような声がした。

アナベル「み・・・水浴びしたい・・・」

当然、おばさんたちの騒ぎが始まった。

ローリエ「高い木を生やして、上から泉を探しましょう!」

バニラ 「ここにお花畑作って、花たちに地下水を汲ませるわ」

ホロキア「あ・・・あたし水は苦手・・・ガオーッ!!!」

クローブ「じゃ、あたしは黄金のバスタブを用意するわ」

ペッパー「いいえ!あそこに火山があるわ。温泉よ、温泉!」

ペッパーの計画はこうである。火山付近一帯に地震を起こすことで、火山を噴火させるとともに地下水脈を刺激して温泉を作ろうというのだ。

 アナベル「温泉・・・入りたい」

 アナベルの希望となれば、誰も反対するものはいない。早速ペッパーは念力を使って地震を起こそうと火山に意識を集中した・・・が。

クローブ「何も起こらないけど?」

バニラ 「かすかにそこの木が一本揺れたような気がしたわ」

ローリエ「そういえば、ペッパーの地震は1人分くらいの威力だったわね・・・」

ホロキア「使えないじゃん!ガオーッ!!!」

アナベル「アタシ自分で泉作った・・・」

一同  「・・・・・・。」

 説明しよう!アナベルの能力は水。そもそも彼女は自分で大気中から水を発生させられるし、水脈を探り当てるのもお手の物なのだ。

 軽く衝撃を受けたおばさんずは、無気力に立ち尽くしたまま瓶の中に吸い込まれていった。

  アナベル「ルンルンルン♪ゆっくり水浴びしようっと!」

 プリンセスアナベルはこの旅ではじめてリラックスした笑顔で水浴びを楽しんだのだった。

 まもなく帰ってくるおばさんずの名誉挽回を狙ったプレゼント攻撃に頭を痛めることになるのを知る由もなく・・・。

頑張れおばさんず。ペッパーは土が友達。彼女たちの活躍(?)はまだまだ続く・・・はず!

おばさんず、湯煙暴走中